今回は銅版画の魅力をお伝えしたいと思い、企画いたしました。
銅版画はまず金属の板を刀で削ったり腐食液に漬けたりして凹部を作ります。
そこにインクを詰め、プレス機で圧をかけて紙に刷りとることで作品が出来上がります。
腐食時間の長さや削る力の強弱で凹の深さに差が生じ、色の濃淡となって表現されます。
繊細な描写の線も美しいのですが、深く掘られた線にたっぷり詰まった油性インクが反転し黒く輝き
画上に立ち上がっている様は銅版画の醍醐味と言ってもよいでしょう。
紙はプレス機の圧力によって紙目がつぶされ版形のプレートマークを作り、それもまた魅力の要素でもあります。
銅版画は様々な版種の中で最も凹凸を有する画肌を持った版画なのです。
描かれた作品の魅力もさることながら、各作家の銅版画ならではの工夫を凝らした技法をぜひお楽しみください。(K)
ピカソ セレスティーヌより 11.8×6.0cm |
今村由男 「茜色のパリ」 19.0×13.5cm メゾチント |
作者不詳 15.5×13.0cm エッチング、アクアチント |