2012.5.18　会場風景

約10年前から大学勤務のため山形での生活時間が長くなりました。
その時間は、それまで40数年間過ごした都会のエネルギーに翻弄される生活と大きく異なりました。
朝陽、夕陽、新芽の緑、紅葉、落葉、雪の漂白、などの色彩の移り変わりや、
鳥の囀り、風に吹かれる葉々の囁き、 夏の雷鳴、豪雨の雨音、雪夜の静寂、などの音の豊かさに包まれる毎日です。
私の目から耳から入る自然は、私を時空の彼方に連れ去り、そこに生える草の命は何なのだろう、
無数ではあるけど一つの雪の結晶や夜空の星の瞬きは何なのだろうと素朴な疑問の後に、
それらはひょっとして私自身ではないかとの考えに至らしめます。
その漠とした思いが作品に現れたらと願いつつ銅版を腐蝕しています。
約20点の作品を展示予定です。 （若月公平）


＜略歴＞
1956年生まれ。1981年武蔵野美術大学実技専修科修了
1981年〜　日本版画協会展（’87年準会員奨励賞）
1985年　第17回現代日本美術展・ブリヂストン美術館賞、第2回中華民国（台湾）国際版画展・金賞
1990年　現代の版画1990特別展（渋谷区立松濤美術館）
1997年　リュブリアナ国際版画ビエンナーレ・グランプリ、富嶽ビエンナーレ・準大賞、大阪トリエンナーレ-1997-版画・羽曳野市賞2002年　第5回川の絵画大賞展・優秀賞
2005年　第6回高知国際版画トリエンナーレ・奨励賞。

「時の蕾」　34.5×23.0cm
エッチング、アクアチント、
雁皮によるコラージュ　2011年

「杜の枝」　33.5×26.5cm
エッチング、アクアチント　2012年

「トラックの森〜８」　40.5×26.5cm
エッチング、アクアチント　2012年