林 美紀子

新発田の駅前に、本家のやっていた製材所があり、
子供の頃はよく材木の上を飛び跳ね、
木端をおもちゃに遊びました。
油絵をやめ、木版画を始めた時、
これは私に合っているという実感がありました。
それから30年、地味な手仕事の木版画が、
私一人の思い入れではなく、縄文以来の日本人の、
もっとも上質な、自然に対する敬意と親愛に直結する技法であり、これが私の中にも繋がっているという気がしています。
青い鳥のように探し回ったオリジナリティーは、
新発田の駅前にあったなんて。
このうえは、伝統に寄りかからず、素朴を脱し、
この小さな木を、国際的に洗練されたジャパン
オリジナルに育てていこうと目論んでいます。
(林 美紀子)
「竜巻」 26 × 31 cm 木版画 2009年
2010.03.05 会場風景